お悔やみの手紙に書かれた美しい字
大人になって美文字を書きたいと思った理由はいくつかあります。思い出深いエピソードはお悔やみの手紙に書かれた美しい字でした。
面識がないのに気持ちが伝わる
父が亡くなったとき、お悔やみの手紙が届きました。送り主をみると見知らぬ名前で、母にたずねてみたら、遠い親戚だとか。封を開けると美しい字が並んでいました。
こんなに美しい字を肉眼で見るのは初めてかもしれません。美しいだけではなく、女性らしさ・しなやかさ・芯の強さまでもうかがえます
言葉とともに気持ちが伝わる字
父が亡くなったショックで、母も私もこみあげてくる悲しみに包まれていました。父を亡くして思うのですが、ぽっかりと心に穴が開いたように、現実を見つめることができませんでした。
届いた手紙からは私たち遺族をいたわる気持ちが伝わってきます。なんて思いやりに溢れているのでしょう。一度もお会いしたことがないのに、綴られる言葉と字の美しさから、その方の人柄まで伝わってくるようです。
「お母さん、この字を見て」
「あら、素敵な文字ね」
二人で顔を見合わせ、ふっと笑みがこぼれます。“美しい字”に見とれる時間は、しばし悲しみから気をそらせてくれました。字の持つ力を感じた瞬間です。
女性らしい美文字を目指したい
相手に心から伝えたくて、心を込めて字を書く
きれいな字に憧れたのは、このときからかもしれません。